
好きなこと(陶芸)を仕事にしたくて会社を辞め、約2年半が経ちます。
29歳で、まったく経験のなかった陶芸という分野に足を踏み入れ、挫折せずにここまで続けてこれたことがすでに奇跡のようなもので。
もちろんその途中で、何度もスランプに陥ることはありました。
だけど
「好きなことを仕事にしていたらスランプに陥ったときに辛すぎるから、逃げ道があったほうがいい」
というような言葉を聞いて「私の場合はどうだろう?」と考えたんです。
そこで、好きなことを仕事にしているユキガオ流のスランプ脱出法について書いていきます。
スランプからは逃げないのが大前提
好きなことを仕事にしていても、当然スランプのようなものに陥ることがあります。
たとえば、思ったような形をどうしても作ることができないとか。器のイメージが全然湧いてこないとか。どんなに自信を持って作っても誰の心にも引っかからないとか。ずっとすごい作品に出会って自分の力量を思い知らされるとか。
もうね、そういうことばかりです。
「ものづくりが好き」で「楽しくて自分にハマった」からという理由で陶芸を始め、なんとしても仕事にしてやるんだという意地もあってここまでやってきたわけですが、「自分には向いてないのかな」とか「やっぱり私には無理な世界なのかな」なんて思うことは枚挙にいとまがないほど。
そういうとき、弱気になったりひっそり弱音を吐いたりすることはあっても、「逃げよう」と思ったことがなくて。
逃げることが大切な場合もあるし、私も気分転換という意味でお散歩をしたり美味しいものを食べに行ったりすることもある。
だけど「逃げ場」を作ってしまったら、その壁を乗り越えることができないような気がしていて。
スランプっていわば「立ちはだかる壁を前に呆然としている」ような状態ですよね。
壁の前に立っている限り、壁の大きさと乗り越える困難を考えて気持ちが滅入るし辛くもなる。
そこから逃げてしまえば壁は見えなくなって気持ちは楽になるけど、その壁を越えなければ先に進めないということは、事実として変わらないわけです。
だから私は、どんなにスランプに陥っても「逃げる」という風には考えない。
逃げるときは、成長を諦めるときなんだと思っています。
スランプ脱出法は「手を動かし続けること」
じゃあ、もしスランプに陥ったらどうやって抜け出しているのか。
私の場合は、とにかく手を動かし続けます。
作る。
作る。
作る。
それしかないんです、壁を乗り越える方法なんて。
どんなに頑張っているつもりでも上手くいかない「停滞期」って絶対にあるんですよ。どんな分野でも。
見えない階段の踊り場で足踏みしていると、もどかしくて仕方ないんだけど、手を動かし続ける限り、それは足踏みではなく「小さな一歩」です。
どんなに小さくても、どんなに踊り場が長かったとしても、一歩ずつ前に進み続けるかどうがスランプを乗り越える鍵だと思っていて。
そこで足を止めたり、自分のやるべきことから目を背ける時間を作ってしまったら、進むスピードは確実に下がる。
だから、手を動かし続けて「一歩でも前に進んでるんだ」という実感を自分で味わう。
そうしているうちに、気づいたらスランプなんて抜けているものなんだと、私は思っています。
好きなことを仕事にしているからこそ、向き合い続けられる

私は高専を卒業した20歳から29歳まで、製造業のエンジニアとして働いていました。
ごく普通のホワイト企業で、生活も給料も安定した正社員だった私。
だけど、だんだん「仕事に向き合えない自分」に気付き始めたんです。
仕事は頑張りたいし、責任感もやりがいもある。だけど、もう一歩のところで踏ん張れない…
その理由を考えたとき、仕事や働き方うんぬんの前に、私は自分の会社で作っているものがそんなに好きじゃないということを自覚しました。
「なぜ好きでもないもののために必死にならなければならないんだ」という思いが払拭できなかったんですね。
本来は会社を選ぶときに気づくべきことですが、9年もかかってようやく実感したんです。
「好きなことじゃないと、踏ん張りがきかない」ということに。
私が今頑張れるのは、モチベーションが「好きだから」「好きなことを続けていきたいから」なんですよね。
好きなことを仕事にしていたら、常に頭の中はそのことについて考えるし、悩みも喜びも仕事起因になりがち。
でも、それだけひとつのことに向き合えるって幸せなことだし、好きなことを仕事にしている人の特権だと思うんです。
だからスランプに陥っても、「長い踊り場にいるだけだ」と「一歩ずつ進めば必ず階段を上っていけるんだ」と考えて手を動かすことをやめない。
それが私のスランプ脱出法です。
好きなことを仕事にしている人、仕事にしたいと思っている人の参考になったら嬉しいです。
ユキガオ
最新記事 by ユキガオ (全て見る)
- 2023年11月2日〜5日、鎌倉で夫婦二人展を開催します。 - 2023年10月20日
- 自分の使いたいものを作る。これからの陶芸のテーマは「原点回帰」 - 2021年4月28日
- 子供が生まれたからこそ感じた「ものづくりの喜び」と「自分の好きなこと」 - 2021年1月9日
- 個展で展示した一輪挿しをネットショップで販売します。 - 2020年7月27日
- 母になりました。 - 2020年6月1日