

私は脱サラして陶芸を始めました。
そのため、こんな質問をよく受けます。
やっぱり作家になりたいの?
ここで言う「作家」とは、「ものを作る人」のこと。
つまり、陶芸で何かを作って売る人のことです。
一般的には「陶芸家」と呼ばれるもの。そのため、人にどう呼ばれるかは特に気にしていません。
ただ、その分野にいる人間からすると

と思うわけですね。
そこで!
普段はあまり気にしたことがないであろう
について紹介したいと思います。
1. 職人

まず、陶芸に関する仕事は大きく分けて「職人」と「それ以外」があります。
職人は
- 窯元や工房に所属している
- 同じものを正確に大量に作ることができる
といった人々を指します。
こういった食器などは、職人さんが同じものを繰り返し作っているんです。
同じものを正確に作るというのは、高い技術と経験を要します。
そのため、若い時に訓練校に入って特訓し、そのまま就職してその道一本でやっていく…という人が多い。
ろくろで形を作る人、絵付けをする人、と工程によって分かれているのも特徴。
基本的に絵付けをする人はろくろでものを作ったりしません。
一つの工程のプロが「職人」だということです。
所属している窯元(会社)から給料をもらって生計を立てます。
2. アーティスト

オブジェなどを作り、個展を開いたり公募展に出品するような人はアーティストと分類できます。
もちろんこの場合でも「陶芸家」と一括りに呼ばれます。
他の仕事と違う点は、作るものが日用品ではないということです。
飾って鑑賞したりするものがメイン。
食器のような普段の生活で使うものを作る人とは分けて考えられるんです。
- 何かを表現したい
- オブジェを作りたい
という人は、アーティストとして制作を行っていることが多いです。
日用品と違い、かなりの高値で販売されます。
個展で販売したり、公募展で入選して賞金をもらうこともあります。
3. クラフト作家

手作り工芸品のことを「クラフト」と呼びます。
日常使いするもの(食器など)を作るのがこのクラフト作家。
基本的に、単価は低めです。一般消費者が買いやすい値段をつけるのが普通。
とは言っても、作品のクオリティや値段はピンキリなのが実態。
人によっては湯のみ一つで1万円弱など、なかなか手が出ない値段だったりします。
値段は作家さんの実績や技法、考え方次第です。
ちなみに私がBASEで販売してるのも、このジャンルに入ります。
中には雑貨店やネットショップオーナーから声をかけられて買い取ってもらい、販売してもらえることもあります。
4. 陶芸教室の先生

自分で工房を持っている場合、生徒を募集して陶芸教室を開くことが可能です。
多くの人が、作家活動をしながら陶芸教室の先生をやっています。
教室を開くメリットは、毎月一定の収入が得られる点です。
もちろん生徒さんが辞めることはありますが、作家一本でやるよりは安定するとのこと。
趣味で陶芸をやりたいという人は多いので、需要と供給がマッチしてるんでしょう。
私も通っていますが、生徒さんが途切れることはないです。
教室代は、各陶芸教室ごとに異なります。材料費や焼成費がかかることもあります。
5. 訓練校・大学の先生

教える仕事としては、学校の先生になるという手もあります。
学校としては、職人を育てる訓練校や美大・芸大など。
陶芸教室みたいに自由にはいかないでしょうが、やはり定期収入が入るのはメリットです。
私の大学の先生方も、作家活動をしながら大学で教えています。
いろんな作家さんに教えてもらえるのは、学生側にとっても嬉しいことです。
また、ワークショップを行なったり、子供たち向けに造形教育を行う人もいます。
教育に携わる、といっても色んな形があるんですね。
陶芸家も基本は複業スタイル
陶芸家というものについて、少し分かっていただけたでしょうか?
今回紹介した働き方は、それぞれ専業で成り立っている方もいます。
だけど『複業』スタイルを取っている人が多いのも事実。
- 職人だけど陶芸教室の先生をやる
- アート作品を作りつつ、大学の先生をやる
- クラフトもアート作品も作る
というように、自分の持つスキルで様々な仕事をされています。
よく「アーティストはその道一本じゃ食っていけない」というネガティブな印象を持たれますが、言い換えれば『複業』のことだと思うんです。
これ一本で食べていく!っていうのもカッコいいけれど、リスク分散の観点からは複業スタイルが最強。
やりたいことの時間を削ってまでアルバイトをするのは望ましくないけど、何か一つの仕事だけをやらなくちゃいけないわけでもない。
そう思います。
スキルを組み合わせることが重要
この5つの働き方に限らず、これからは色んな働き方が生まれると思います。
自分の持っているスキルを掛け合わせて、唯一無二の存在になる。
それは、陶芸家に限らず様々な職業でありうることです。
私みたいにブログを書くのもアリだし、イベンターとコラボしてもいいかもしれませんね。
そして、今後は「何か一つ」より「何か×何か」の組み合わせで勝負していく時代。
だからこそ、自分の持つスキルを把握して生かす努力が必要だなと思います。
あなたなら何と何を組み合わせますか?
ユキガオ
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