
陶芸、つまりものづくりを生業としている私。
そんな私が尊敬し参考にしているのが、高田ゲンキさん(@Genki119)というフリーランスのイラストレーターさんです。
高田ゲンキさん
神奈川県出身、ドイツ・ベルリン在住のイラストレーター。
ブログ:Genki Wi-Fi
ツイッター:@Genki119
イラストギャラリー:Genki Takata Illustration
詳細なプロフィールはこちら。
イラストと陶芸って、分野は違えど“なにかを1から生み出す”クリエイターとして考えたら同じ括りだと思っていて。
だからこそ、高田さんの発信はどれも共感できる。
「あいつ必死だな」と笑われることがあるが、本当に必死なので全然オッケー。がむしゃらに生きるのことは僕の美学だし、何も悪いことではない(むしろ良いこと)と思ってるので。でも僕を笑う人は本当は無関心を装っているだけでアツく生きたいのだろう。そうじゃなければ笑う必要もないはずだからね。
— 高田ゲンキ@『フリーランスで行こう!』発売中! (@Genki119) 2018年8月31日
単価が低くて儲からない、と言うイラストレーターは
① 画力がない
② 筆が遅い
③ 時代に合ってない
④ ビジネスセンスがないの場合が多い。特に絵が上手くても③④をクリアできない人が多い。コツは、マーケット感覚を養うこと。もっと平たく言うと「オタクにならないで、広い視野を持つこと」。
— 高田ゲンキ@『フリーランスで行こう!』発売中! (@Genki119) 2018年9月5日
そんな高田さんが最近出版された『フリーランスで行こう!会社に頼らない、新しい「働き方」』という本。
これを読んで、私、決意したことがあります。
それがこの5つ。
- 助言は尊敬する人からもらう
- もっと泥臭く営業する
- 「忙しい」と弱音を吐かない
- 不安定さをバネにする
- 発信を続ける
『フリーランスで行こう!』は、イラストレーターに限らず、フリーランスとして正解のない働き方をするすべての人に向けられた本でした。
私が特に感銘を受けた部分と、それに対して考えたことをお伝えします!
通ったことのない道の説明はできない
成功したければ、成功している人に話を聞くべし
『フリーランスで行こう!』より引用
世の中の大多数と違う働き方を目指すとき、最初の壁は「周囲の反対」だと思います。
私も「陶芸を生業にしたい」と思い、それを“陶芸を生業にするために苦労してきた年配の陶芸家さん”に話したところ「難しいぞ」と一蹴されました。
だけど、中には年齢の近い陶芸家さんで活躍されている方もいる…。
本当に難しいことなんだろうか。
活躍されている人と私の違いは…?
そう思い、ずっと憧れていた30代の陶芸家さんに会いに行ったんです。その時のエピソードがこちら。
実際に会ってみたら…
陶器まつりなんかに行くと、たくさんの店が出てますよね。
それは、それだけの人たちが陶芸をして生きているということ。
陶芸をやって生きていくのは、できないことではないんですよ。
ご本人はとても素晴らしい作品を作られているんですが、とても謙虚にそんな話をしてくれました。
この話を聞いてすごく励まされたんです。
世の中でよく言われる「陶芸で食べていくのは難しい」という出所不明の言葉より、実際にその道で生きてる方の言葉のほうがずっと信じられる。
『フリーランスで行こう!』で高田ゲンキさんが、憧れのイラストレーター・大寺聡さんに会いに行かれたエピソードと重なって、とても共感できました。
仕事が欲しいなら「営業」は不可欠
仕事が来なければ「営業」をするべし!
『フリーランスで行こう!』より引用
今でこそ人気イラストレーターの高田さんですが、フリーランスになりたての頃は仕事がなかったんだそう。
ところが、本腰を入れて営業活動をしたところ、たくさんの仕事が来るようになったそうです。
私は、ポートフォリオを持ち込んで直接お店に営業をする…といったことをしたことがありません。
だから、この話はグサッときた。
確かに「十分食べていける」と言えるほど陶芸の仕事があるわけじゃない私。足りないのは営業だな、と思ったんです。
だから、まずはポートフォリオを作る。そしてそれを持って営業をする。
そう決めました。今、ちょっとずつですがポートフォリオ作成に向けて動いています。
「忙しい」「不安定」をバネにできる人が強い
フリーランスでとんでもなく忙しくなると、それはもう大変で…
何をやるにも一人でやらなくちゃいけないし、肝心の制作はそもそも自分ありき。
どんなにしんどくても休めないという辛さがあります。
だけど、高田さんは繁忙期の大変な時期に、先輩(大寺さん)の一番忙しかった時期のエピソードを聞いて「なんか甘えてたわ!」と乗り切ることができたそう。
めちゃくちゃ忙しいときって、この世で自分が一番忙しいかのように錯覚しがちなんですけど、もっと忙しい人は確実にいる。
このエピソードを読んで、私も「忙しい」を言い訳にするのはやめようと思えたんです。
そして紹介したい大寺さんの名言がこちら。
僕は「安定は敵」だと考えているんだよ!!!
『フリーランスで行こう!』より引用
フリーランスでよく言われるのが、収入が不安定だということ。
これは、私もめちゃくちゃ感じています。今月売れても、来月売れるかどうか分からないという不安定さとの戦いだなぁと。
だけどこの本の中で、大寺さんが「安定は敵」と言い放つシーンがあります。
それは、安定から安心を得ると成長が鈍ってしまうから、ということ。
来月も来年も必要とされるためには、それだけの価値を提供し続ける必要がある。
その価値は、時間とともに移り変わるから、常に時代をキャッチし続けていかなければならないんですよね。
そう考えると、フリーランスの不安定さもバネになるんだと思えます。
届けたいものは発信して見つけてもらう
『フリーランスで行こう!』のエピローグとして、高田さんの発信に対する想いが書かれています。
高田ゲンキさんは、ツイッターフォロワー約1万3千人(2018年9月22日現在)。
ブログ『Genki Wi-Fi』やnoteなど、様々なところで発信を続けてこられました。
その結果、こうして本の出版やインタビューに繋がったんだそう。
恥ずかしながらかつて僕はインタビューの依頼が無いことを悔しがっていた。しかしそれはダサいと気づき、それなら自分で自分にインタビューをしようと2014年にブログを始めた。それから4年経ちブログで描き始めたマンガは書籍になり、インタビューもしてもらえた。感慨深い。https://t.co/wwQQalQm3d
— 高田ゲンキ@『フリーランスで行こう!』発売中! (@Genki119) 2018年8月15日
クリエイターは、確かに制作を怠ってはいけない。そして届けるまでが仕事だと思うんです。
ものづくりやクリエイティブな仕事をしている人って、「自分から発信するのではなく他人に取り上げてもらってこそ価値がある」と思ってる節があって、それは一理あるんだけど、私は自分の作品を届けるために発信することができるのも価値だと思うし、届けるところまでがものづくりだと思ってる。
— ユキガオ|物書き陶芸作家 (@yukigao_22) 2018年9月3日
そして何より、同じような生き方をしたいと望む人たちに道を示したり背中を押してあげることができる。
だから私はこれからも高田さん同様、発信を続けていきます。私の想いを。私の生き方を。
続けるために必要なのは「価値を届ける努力」
ドキドキしながら開業届を出したのが去年。つまり、今年はフリーランス2年目。
正直、まだまだ陶芸のお仕事はそんなに多くありません。
通信制大学や陶芸スクールに通い、他の仕事も掛け持ちしている中での制作だから、受けられる仕事量にも限界がある…
なんて思っていましたが、そんなの本当に言い訳でしかなかった。
この本を読んで改めて、そう痛感しました。
私はものづくりが好きだから、できることならずっとものを作って生きていきたい。そのために必要なのは、私がものづくりを“事業”として継続していく資金。
つまり、稼がなければ好きなことを続けることすらできないわけです。
ものづくりをする人にありがちなのが「お金を稼ぐことは二の次」という思考。
やっぱりね、好きなことだから。それをやってるだけで幸せっていうのはあるんです。だからお金はいらないよ、って思っちゃうこと。
でもそれって「逃げ」なんじゃないかなぁ、と。
いざ売ってみたときに売れなかったら辛いから。自分の作品を市場に出して評価されるのが怖いから。
人は、価値を感じるものに対価としてお金を払うわけです。つまり、お金を稼ぐということは、価値を提供しているということ。
私は、自分の作ったものが誰かの生活を少しでも豊かにできたらいいな…と思っています。そこには「生活を豊かにする」という価値があるはずで。
その考え方からすれば、お金をいただけていないのは「価値を生み出していない(届けることができていない)」状態。
それは、寂しいですよね。せっかく作るのなら、誰かにとって価値のあるものであってほしい。
だったら
- 価格以上の価値を生み出す努力
- その価値を届ける努力
をする必要がある。
私はその意識で、ものづくりを続けていきたいと思っているのです。
そして、改めてそう思わせてくれた高田ゲンキさんに感謝です。
フリーランスのクリエイターとして活動していきたい人は、ぜひ高田ゲンキさんの『フリーランスで行こう!』を読んでみてください!
必ず今後の指針になってくれますよ。
ユキガオ
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