
こんにちは、京都で陶芸をやっているユキガオ(@yukigao_22)です。
まずはこちらの写真をご覧ください。

続いてこちら。

さらにもう1枚。

全て食器として作ったものです。(使い勝手はともかく)
そして、全て陶器です。
え、同じ陶器なの?
全然違った感じがするけど
やきものの分類上、全部陶器なんだよ
なんでこんなに違った雰囲気なの?
作るときに何か変えてるの?
そうだね!
この違いは、作る過程や使う材料にあるんだよ!
そもそも陶器を作る過程って?
陶器を作る時の流れは、大まかにこんな感じ。
- 土を練る
- 形を作る
- 削る
- 低温で焼く
- 釉薬を掛ける
- 高温で焼く
よく分かんないけど、とにかく土で形を作って焼いてるんだね!
それだけじゃなくて、釉薬(ゆうやく)っていうものを掛けてコーティングもしてるよ
あ!じゃあ、陶器の違いはこのコーティング材だね!?
それもあるね!
だけど、それだけじゃないんだよ
陶器を作る過程から考えられる違いは、まず釉薬です。
表面を覆うコーティングが違えば、見た目が変わるのは想像できますよね。
だけど、それだけじゃありません。
陶器の違いには、土の種類と焼き方も関係しているんです!
陶器の違いを作る3つの理由
陶器を見て「雰囲気違うな〜」と思う理由は大きく3つ考えられます。
- 土
- 釉薬
- 焼き方
それぞれについて簡単に説明していきますね!
1. 土
陶芸で使う土は、非常に多くの種類があります。
その中でも、私が普段よく使っている土は2種類。
「赤土」と「白土」です。

ご覧の通り、まず土の色が全然違います。
そしてこの土の違いは
- 含まれる成分
- 採れる場所
などによって変わってきます。
他にも「黒土」や、ザラザラした「荒土」などもあります。
作りたいものの雰囲気に合わせて選ぶことが重要です。
2. 釉薬
釉薬というのは、一度焼いた器に掛けるコーティング。
違う釉薬を使えば、仕上がりは変わってきます。
例えばこの2つ。


同じ形だけど、色が全然違いますよね。
同じ土を使っても、釉薬を変えることで違った雰囲気にすることができます。
また、こんな風に釉薬を部分的に掛けて景色を変えることもあります。


釉薬は、自分で調合して作ることができるため膨大な種類を生み出せます。
釉薬の専門書も多いです。
釉薬は奥が深く、色んな表現の可能性を持っています。
3. 焼き方
陶器は「やきもの」というくらい、焼くことが非常に大切。
その焼き方も、種類は色々。
「陶器を焼く」と聞いてまずイメージするのは、こんな窯で火を焚くシーンじゃないでしょうか?

だけど現在、京都市内ではこのような形で焼くことができません。
薪を使って焼くので、煙の問題や火災の恐れがあるからです。
もちろん他の場所ではこのような窯で焼いている作家さんもいますが、少なくなってきています。
電気やガスを使った窯があるため、場所の制約や経済的な面から、そちらを使う人が多いんです。
でも、薪で焼くと…

このような非常に味わい深い陶器が出来上がります。
これは釉薬をかけずに焼いているのですが、それでもこんな色・質感になるんです。
不思議ですよね。
これは、電気窯やガス窯で再現することができません。
そのため、作家さんによっては今でも薪を使って焼いているわけです。
さらに、同じガス窯でも「酸化焼成」「還元焼成」といった異なる焼き方があります。
それによって土の色や釉薬の色が変わることも。
違いを楽しみながら使おう!
陶器の雰囲気が違う理由、お分かりいただけたでしょうか?
一口に「陶器」といっても、色んな形・色・質感があるんです。
じゃあ「こんな感じのが欲しい」って思ったら何でも作れるってことだね!
それは違うかな。
使う窯や手に入る材料によって作れるものが限られる、とも言えるんだよ
市場には、様々な陶器が出回っています。
産地も製法も、様々。
つまり、色んな人が色んな作り方をしてるからこそバラエティに富んだ商品が並んでいるとも言えるわけです。
そして、各産地の特色があるからこそ面白い。
地域によって使う土や独自の技法があるため、それが伝統技能として伝承されていく…
陶芸というのはそういう世界です。
同じ雰囲気のものを簡単に再現できたり、誰でもどこででも作れるといったものではないんですね。
それだけ難しくもあり、面白い世界でもあります。
「自分が使っている器には、そんな違いがあるんだな」
と思いながら、陶器を楽しく使ってみてはいかがでしょうか?
「まだお気に入りの器に出会えてない!」という方は、私が作るオリジナル陶器を一つ持つと、食事が楽しくなるかもしれません。
興味がある方は、こちらのネットショップからどうぞ!
ユキガオ
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