こんにちは、ユキガオ(@yukiga_22)です。
先日読んだこの小説で、ふと「私は本当に大切なものを、ちゃんと大切にできてるかな?」って考えてしまいました。
川村元気さんの「世界から猫が消えたなら」は、実写映画化もされた作品です。
あらすじはこう。
郵便配達員として働く三十歳の僕。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。そこに現れたのは、自分と全く同じ姿をした悪魔。「この世界から何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得る」という奇妙な取引きを持ちかけられ、僕は生きるために消すことを決めた。
とてもファンタジーな設定。そこに、生きていく中で見失いがちだけど、忘れてはいけないことが描かれていました。
本当に大切なものは見失いやすい
この小説の中では、電話・映画・時計といったものが次々に消されていく。
それまで存在して当たり前だと思っていたものたち。それが消えることで、世界はどう変わるのか。そして主人公の「僕」はどう変わるのか。
そんなストーリーを通して、人生において本当に大切なものは何かを気付かせてくれます。
例えば138ページ目にある、この一節。
本当に大切なことを後回しにして、目の前にあるさほど重要ではないことを優先して日々生きてきたのだ。
目の前のことに追われれば追われるほど、本当に大切なことをする時間は失われていく。そして恐ろしいことに、その大切な時間が失われていることにまったく気付かないのだ。
「世界から猫が消えたなら」より
主人公の「僕」が、本当に大切なものを大切にしてこなかったことに気付くシーン。
これ、自分にも言えることだなぁと思ったんですよ。私も大切なものを大切にしてこれたかな?って。
大切そうに見えるものは、目の前にたくさん転がっているんです。「これもやっておかなきゃ」「あれも行かなきゃ」みたいに。経験ありませんか?「やっておかなきゃマズイことになりそう」と思って慌ててやること。
もちろん、やらなきゃいけないことには間違いないんですよ。たとえば免許更新だとか、代金の振込みとか、社会的に「やるべき」こと。
だけどね、それって自分にとって本当に大切なことなんでしょうか?
例えば、自分の母親が危篤だって聞いたのに呑気に免許更新の列に並びますか?
大切な友人とようやく会えるって日に、「銀行で振込みしなきゃいけないから」と言ってキャンセルしますか?
これは大げさな例だけど、人は目の前のことしか見ていないと、本当に大切なものが何なのか分からなくなることがあると思うんです。
本当は自分の大切なものを優先したいのに、目の前の些細なことが大事に思えてしまって時間を割いたりする。
そんなことをしているうちに、本当に大切なものは手の届かない場所にいってしまうっていうのに。
誰かに与えてきたものが生きた証になる
また、「僕」が自分の葬式の場面を想像したときに、こんなことに気付きます。
僕は彼らに何を与え、何を残したのだろうと。
「世界から猫が消えたなら」より
人は、誰かから与えられたものについて覚えているもの。「彼女は私に大切なことを教えてくれた」「彼は私のことを心から愛してくれた」みたいに。
自分がどう生きたかっていうのは、誰に何を与えたかなんですよね。
そう考えたとき、私はこれまで誰かに何かを与えてこれたかな?って疑問が湧く。私はいつももらってばかりのような気がするから。
誰かを心から愛して、その人のために全身全霊を捧げているだろうか。大切な人たちに、「大切に思っている」ことを何らかの形で伝えられているだろうか。
そんな、些細なことですら疑問に感じるほど、私は「与える」という行為をしてこなかったんじゃないかと思うんですよね。
この「与える」という行為も、相手があってこそ。相手がいなくなってからでは遅いし、もちろん自分が消えてしまってからでも遅い。
今、自分にできることって何だろう。
そんなことを考えさせれれます。
最近いろんな本を読んでいて「あなたは何かを与えたか?」と問われることが多い。生きるということは、誰かに何かを与えること。私は、誰かに何かを与えてきただろうか?私が死んだあとも、誰かの心に私は残るだろうか?
— ユキガオ (@yukigao_22) 2016年6月14日
読み返すことで「大切なもの」を意識できる一冊

この「世界から猫が消えたなら 」は、色んな人から人生のバイブルと呼ばれています。このブログ記事もそう。
ものが多すぎて、目の前のやるべきことにばかり気にしてしまう。そんな現代だからこそ、本当に大切なものが何なのか考える時間が必要じゃないかな?
私にとっての大切なものは、恋人や家族、友人たち。その人たちを本当に大切にできているかな?って思わず考えてしまいました。
大切なものはいつかなくなる。そのときに後悔しないためにも、この本を読んで自分の「大切なもの」に想いを馳せることが大事なんだと思います。
この本を読むと、大切なものをちゃんと大切にしようと思える。そういう意味では、いつも持っていて定期的に読み返すべきバイブルなのかも。
読んだことのない方も、読んだけど本は持っていないという方も、ぜひ購入してバイブルにしてみてはどうでしょうか?
ユキガオ
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